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ごもブロ

都内でWEBディレクター/PMをやってるごもくのブログ。読んだ本から買ったモノ、日常のできごとを自由に書きますよ。ちなみにMBA保持者!

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なぜメルカリは「メルカリ カウル」をリリースしたのか。

こんにちは、ごもくです。

今日はビッグニュースが入ってきました。

日本のモンスターベンチャー企業「メルカリ」が新たなアプリをリリースしたのです。

「メルカリ カウル」は本・CD・DVD/ブルーレイの取引に特化したフリマアプリで、日本最大のフリマアプリ「メルカリ」と連携することで便利に利用できます。

News | 株式会社ソウゾウ

このタイミングで専門特化アプリのリリース。その狙いはどこにあるのでしょうか、ビジネス、そしてWEBアプリという観点からその理由を考えて見たいと思います。

そもそもメルカリって?

テレビCMもやっていますしご存知の方も多いと思いますが、スマートフォンで利用することフリーマケットアプリの開発・運営を行なっている企業です。日本初のユニコーン(企業の評価額1000億円と言われている企業)として有名ですね。

僕も使っていますが、とてもいいですよね。使わなくなったTシャツやCDなんかはすぐに売れていきますし、自分が設定した金額で売れて行くのもとても嬉しいです。

そんなメルカリは、昨年6月に累計3000万ダウンロード、1日の出品数は50万という通常では考えられないほどの数字を叩き出し、累計で100億円超の資金調達も行なっています。

この数字だけを見るだけでもモンスターベンチャーであることは理解できますが、驚くべきはその成長率です。

2015年2月時点で1000万ダウンロードだったものの、その1年半後に3倍のダウンロード数にしています。1000万が1100万や1200万になるというのであれば理解できますが、数千万規模でダウンロードされているアプリがその3倍の数字までダウンロード数を伸ばすというのは狂気の沙汰としか思えません。

こうしたメルカリの経営センスはスタートアップやベンチャー界隈だけでなく様々な企業の経営者、起業家志望の方から注目されています。

現在のメルカリの経営方針は?

さて、そんなメルカリの経営方針はどのようなものなのでしょうか。これには大きく2の方針があります。1つは「海外展開」で、もう1つは「子会社による新たな事業の創造」です。

メルカリの海外展開

まずは海外展開です。

私はメルカリの創業者兼CEOである山田進太郎さんや、社長の小泉さんの講演会やメルカリのミートアップなどに参加したこともあるのですが、おふたりともとにかくアメリカ、イギリスでの展開にリソースを注力していると話されていました。

驚くのは「日本を落としてでも、米国市場を取っていく」と話されている点です。現在メルカリはリソースの9割を海外投資に割いており、日本国内の成功ではなく、海外も含めた大きな成功を獲得しようという経営方針が見て取れます。

 そうした経営方針は一貫しており、つい先日も山田さんが社長から会長兼CEOに、副社長であった小泉さんが社長になっています。

メルカリの成功はアメリカでも顕著で、先の記事にもあった通り、日米通算5500万ダウンロードを達成しています。そのうち3000万を日本だとすると、すでに日本と同じくらいのダウンロード数を達成していることになります。

アメリカのApp StoreでもポケモンGOに続く第3位に位置していたこともあり、これまでGoogleFacebookAmazonなどの外資系企業に牛耳られていたインターネットの、新たなプラットフォームを作るのではないかと期待されています。

子会社による新たな事業の創造

そうした目覚ましい海外展開の一方で、メルカリは新たな一手を打ちます。

子会社の設立です。

2015年9月(メルカリ本体が1000万ダウンロードを超えた約半年後)に設立されたソウゾウは2016年3月にメルカリとは別のサービス「メルカリ アッテ」をリリースします。

「アッテ」はメルカリと異なり、直接あって物々交換をすることができるクラシファイドサービスです。類似サービスとしては「ジモティー」が有名ですね。

日本と比較して欧米やオーストラリアでは物々交換が一般に普及しており、クラシファイドサービスだけでも数十あります。

メルカリは離れた人とも取引ができる会わないサービスであるのに対して、アッテはその名の通り直接会って物々交換やサービスを行うサービスです。

それはアプリのユーザーインターフェイス(利用者が操作する画面のこと)にも反映されており、自分のいる位置を中心にして、歩いて会いに行ける距離、自転車に乗って行ける距離、バスで行ける距離など、距離による検索が可能になっています。

なぜメルカリと全く異なるようなサービスをするのか。ソウゾウの社長である松本さんは明確にメルカリとの「差別化」を意識しています。以下のインタビューでは、メルカリと同様に「全方位」を意識しつつも、メルカリだからできる/メルカリじゃない新会社だからできることを模索した結果がこのソウゾウであると語られています。

専門特化アプリが必要なのはなぜか?

リユース業界の現状

だいぶ前置きが長くなってしまいましたが...ここからなぜメルカリが「メルカリ カウル」をリリースしたのかを考えていきたいと思います。

先に述べた通り、メルカリの成長は早く、そして海外展開を視野に入れた社長交代や、メルカリとの差別化を意識した子会社の誕生など、まさに大きな市場を取るためになにをすべきなのか、ということがその根底にある企業だとわかります。

そうしたメルカリの経営を見ると、ここで専門特化したアプリをリリースすることに若干の違和感があります。細かな市場ではなく、全方位で市場を獲得するのがメルカリだからです。

その補助線となるのが、今日大きな話題となった以下のニュースです。

なんだか狙って記事を載せたのではないかと思えるくらいのニュースですが(笑)、このニュースでは、ブックオフやGEOといった店舗で買取・販売を行うリユース型のビジネスモデルを採用する企業が、メルカリの登場によって業績不振にあえいでいるというニュースです。

店舗での買取価格よりもメルカリに出品する方が金銭的な利益を得られやすく、特に地方都市では店舗にいく時間を節約することができるため、多くの人がメルカリを利用しているということです。

これは「メルカリ カウル」をリリースする1つの理由として考えられますが、私はそれだけではないと考えています。

専門特化と全方位の矛盾を解決するソウゾウ

マーケティングの基礎的なフレームワークの一つとして「3C分析」というものがあります。自社(Company)、競合企業(Competitor)、顧客(Customer)の関係性をそれぞれ考え、自社の経営方針を決定するための補助とするのです。

先の東洋経済の記事は、Competitor(競合)を視野に入れた記事となっています。しかし、その視点だけでは、CompanyとCustomerを視野に入れていない経営判断(=アプリのリリース)と思ってしまいます。ただ、そうとも言い切れません。

まず、Customerですが、メルカリで流通する物品の約2割が本やCDといったエンタメ系の物品となっています。そうしたボリュームのある利用者に向けてさらなる利便性を提供するのは、企業としても当然の一手と考えられると思います。

そうであるならばメルカリのアプリ本体にバーコードの読み取り機能や、最低価格の更新機能などを実装すれば良いのではないかと考えられます。アプリビジネスで一番困難なのは、そもそもユーザーに自社のアプリをインストールしてもらうこととも言われていますし、それがわざわざユーザーに対して高いハードルを課す必要はないのです。休眠していたユーザーも新機能の登場によって再利用してくれるかもしれません。

しかし、そこにメルカリのCompanyとしての在り方が見て取れます。

先にメルカリは「大きな市場を獲得すること」「全方位性」が特徴であると述べました。それが大原則であるのであれば、こうした専門特化した機能をメルカリに導入することは経営判断として矛盾することになるのです。

では、その矛盾を解決するためにどうするのか。その結果が、メルカリとは別アプリを立ち上げることと、そして何よりもソウゾウが開発を行うということなのです。

ハーバードビジネススクールの教授でイノベーション研究の大家でもあるクリステンセンが提唱したイノベーションのジレンマという概念があります。

イノベーションのジレンマは、企業が既存製品の性能向上にのみ注力してしまい、機能が必要十分でありながらも面白いアイディアを顧客に提供できる企業に負けてしまうことを示します。

言い方はやや違いますが、ソウゾウの社長である松本さんも同様のことを指摘しています。

社内ベンチャーはなかなか成功しにくいと、一般的に言われています。その原因として、よく挙げられるのが「イノベーションのジレンマ」という言葉。
これは会社の規模を問わず、既存事業の維持に注力してしまい、新しい事業に本腰を入れられない状態を言います。
組織の中にいれば、技術、思想、リソースなど、何かしら引っ張られてしまうところがあります。既存事業が収益性の高いものであれば、新規事業の重要度は下がります。となると、最適なリソースを分配することすら難しくなってしまう。

「社内ベンチャー」が成功しない理由と、メルカリ社のケース – The First Penguin

「メルカリ カウル」は、既存事業であるメルカリにイノベーションのジレンマを起こさせないためにソウゾウが開発したのです。

つまり、メルカリはあえて「メルカリ カウル」を外部のアプリとすることでメルカリの自身の「全方位性」を守るとともに、イノベーションのジレンマを回避して自社のプラットフォームを強化するための新たな経路を誕生させたと言えます。

あれもこれもと機能をふんだんに入れすぎた結果、複雑なものが出来上がってしまい、誰も使えなくなったアプリやツールなんてそれこそどこにでもありますよね。

経営戦略がアプリの在り方にも反映された、素晴らしい意思決定です。

まとめ

以上がメルカリが「メルカリ カウル」を別アプリとして子会社であるソウゾウがリリースした理由の考察です。

私もWEBサービスのディレクターとして、こうしたメルカリのダイナミズムはとても刺激になります。

現金の出品問題も含めまだまだ改善すべきポイントがあるのは確かなのですが、日本初(発)のユニコーンとしてとても応援しています!!

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